塾なし高校受験〜うちの田舎メソッド〜

2025年高校受験予定の中3息子、ポン助。進学塾も高校も無い町で、夢に向かって邁進中。中受残念組だろうが検定に落ちようが「僕は挑戦を止めない。」それでいい。常に仲間と明るく楽しく、全力で駆け抜ける田舎の中学生男子の日常。

中3・真夏のドライブ

先日はポン助と一緒に

夜明けと共に出発した。

 

熊出没注意の看板が

あちこちに設置されている

何も無い田舎道。

 

最初はテンション高めで

相変わらず一人で熱唱していたポン助も

通信が安定してから

お気に入りの宇宙系の動画を見始め

いつの間にか寝落ち。

 

渋滞すら無い国道。

本当に今にも熊が出そうな

薄暗く深い森の道をひた走り

日が昇ると

一気に色付いて見えた。

 

軽快に走ること数時間

やはり街が近付くと

自然と車が多くなり

目覚めたポン助と

あれこれと話しながら進む。

 

2台連なる白バイ隊員

まるで幼児の如く興奮するポン助。

 

信号が増え

住宅が増え

ビルやコンビニが増え

いよいよ都会の景色に変わる。

 

「うおっ!道路の下にトンネルがある!」

「アンダーパスって言うんだよ〜」

「長い函渠みたいなやつ?」

「それ道路の下に作る牛のトンネルだし(笑)」

「それの長い車道バージョンか?」

「何か違うけど、ま、そんな感じ♪」

「相変わらずビルの森みたいだな〜」

 

地図は全て頭に入っている。

古いカーナビには従わない(笑)

通勤ラッシュの道路を避けて

走りやすい枝道を駆け抜ける。

 

「すげー!交差する道が全部渋滞なのに

うちはスイスイ進んでる!!」

「この時間帯に混む道は大体知ってるよ♪

だから少し遠回りでも、スムーズに進める

道を選んで走ってる。」

「ポン助も免許取ったらナビに頼らないで

運転出来る様に頑張ってね♪」

「了!」

「あ、もう見えて来たよ。」

「うおー!楽しみだ!!」

 

私立高校の学校説明会には

A日程2校

B日程2校

計4校参加済なので

中3にならなければ参加出来ない

公立高校の学校説明会に

満を持して足を運んだ。

 

見学候補の進学校4校のうち

E校は予定が合わず

N校は説明会無しとの事で

残る2校の学校説明会を申し込んだ。

 

今回はS校。

 

学校に近いパーキングに

運良く入れたので

私も校門まで一緒に行ってみた。

 

遠い記憶を辿れば

私の中学の同級生が

確か2人進学した学校。

定期テストも学力テストも

何科目満点だったか

合計点は何点だったか

学年中の噂になる様な子達だった。

 

その2人と

私は当時同じクラスだった。

1人は陽キャ系男子で

席が隣の時に

先生よりもわかりやすく

数学の苦手な単元を教えてくれた。

お陰で次のテストで

私は1問ミスの高得点を出し

満点の彼とハイタッチして

一緒に喜んだ記憶。

 

もう1人は素敵女子で

ふわふわ系の天然タイプ。

5科目500点満点を狙って

1問ミスで498点だった時に

ペロリと舌を出して

「あ〜あ、残念。」と笑っていた。

 

別次元の世界で

私の様なその他の有象無象とは

全く違う視点や思考で

世の中を見ていた子達。

「秀才」や「天才」の称号を

ごく当たり前に手にしていた。

 

しかし

その裏では

凡人が想像を絶する様な

勉強時間を積み重ねていたのだろう。

 

私は

席が隣だった関係で

偶然その2人の会話を耳にする事があった。

「学力テストの勉強始めた?」

「うん。やっぱ難しいよね。」

「中間や期末みたいに読めないしね」

「でもさ、何が来るかなって、少し

楽しみじゃない?」

「あ、それわかる。ちょっとワクワクする。」

「ま、塾のテキスト5周くらいやったら

とりあえず大丈夫だろ。」

「え〜私そんなにやりたくない〜。3周だわ」

「次は俺が勝つ予定。」

「ふふふ。お手柔らかに♪」

 

同じ塾で

良いライバル関係だったらしい。

 

その後は

どちらの家族も引っ越してしまい

詳細は不明だった。

 

 

凡人の極みの様な私でも

この学校にどんな子達が集まるのか

容易に想像出来る。

 

「じゃ、行って来ます!」

「ちゃんと聞いて来てね。」

「OK〜♪」

 

大行列の波に乗って

ポン助が校舎に入って行った。

学校説明会は生徒のみで

保護者は入れない。

ここが華やかな私立高校の説明会と

大きく異なるだろう。

 

私は付近を散策したり

買い物したり

車内で読書したり

のんびり過ごしていた。

 

終了後

ポン助が車に戻り

ご所望のマックを

ドライブスルーで購入し

大都会を後にした。

 

「どうだった?」

「楽しかった♪一言で言えば自由。私立とは

真逆の世界かな?校則も無くて髪の色も自由。

自分達のスタイルで自由にやらせてくれる。

学校は手を掛けないから、私立みたいな

決まったカリキュラムとかじゃなくて

全て自分で計画して勉強するみたい。授業は

普通にあるけど、自分の進路に必要な物を

選択して受ける。そんな感じかな?先輩達の

話も参考になったし面白かった。部活も沢山

選択肢があって、やってみたい物もあった。

自分なりにちゃんと見て聞いて解釈して

楽しんで来たよ♪」

「そっか。それなら良かった♪」

「うん。来月もう1校見てから決める。」

「そうだね。急がなくて良いよ。」

 

やはり合っているのだろう。

学校が全て手をかけてくれる訳では無い。

しかし

幼い頃から強いられて来た

“全員足並みを揃えさせる”スタイルから

解放されたいポン助には

願ってもない環境がそこにあった。

確かに

全て与えられたものだけやって来た子は

とてもキツいだろう。

先生の“何もしません”発言に対し

少し面食らっていた子もいた様だったと

後から言っていた。

 

自分の望む環境で学べるなら

それが理想的だろう。

 

帰宅後

机に向かうポン助。

 

学校から

入賞の知らせのTELが来ていたが

勉強に集中していたので

リアクションは薄かった。

 

どうやら本格的に

スイッチが入ったらしい。

 

そう

あとはただ

全力で“やる”だけだ。

 

Fight!