塾なし高校受験〜うちの田舎メソッド〜

2025年高校受験予定の中3息子、ポン助は中学受験残念組。進学塾も高校も無い町から1校のみの挑戦。しかしあと数問程度力及ばず、地元の公立中に進んだ。中学受験の内容も知らずに、事ある毎にネタにして馬鹿にする奴も居る。でも「楽しかった。僕は挑戦する事を止めない。」そう言い切った。常に仲間と明るく楽しく、全力で駆け抜ける田舎の中学生男子の日常。

さあ、行こうか。

久々の残業から帰宅すると

机に向かって猛烈に問題を解くポン助。

どうやら明日の道コンに向けて

集中力のピークを迎えて居る様子。



「おーわった♪晩御飯はレトルトカレー

お願いします。映画見ながら少し頭休めて

寝る前に暗記系復習するだけ♪」

「お疲れ様〜。あっためるだけだから

直ぐ出来るからね。」


忙しい日に

手抜きご飯をリクエストされると

とても嬉しいズボラ母ちゃんである。


今日のポン助は

学校からプレゼントされた

進学塾の春期講習テキストを

全科目コンプリートしたらしい。

小学校の全復習になっていたから

道コンの出題範囲と同じで

丁度良かったと言っていた。

英語と算数のテキストは

学校で少しやっていたが

全科目内容を確認して

残りは道コンの直前に

一気に復習しようと決めていたらしい。


私の出勤後

朝からやっていたらしく

今日も10時間超の学習時間だ。

そんなに出来る訳無いじゃんと

苦笑される方も居るとは思うが

中学受験勉強を経験した子なら

合否に関わらず普通に可能な事である。

ポン助よりもっと過酷な環境で

自分と戦い続けて来た子も居るだろう。

普通じゃないと言われたら

そうなのかも知れないが

でもいたって

ポン助は普通の子である。


私も主人も仕事なので

特に監視してもいないし

強制してもいない。

でも朝日と共に起床して

直ぐに机に向かう。



ポン助はすでに

それが普通の感覚になっているので

苦痛でも何でも無く

むしろタイマーを使用して

鼻歌で楽しみながらやっている。

ゲームをやらない平日は

勉強をゲームの如くやるポン助。


夜は9時から10時くらいには

眠くなるので

夜中まで机に向かうタイプでは無い。

好きな映画のTV放送を見たい時は

少し夜更しするくらいだ。

そんな日は

放送時間前には必ず

1日の学習が終わる様に

自分で臨機応変に計画を立てている。

そして寝る前に

布団に入ってから

暗記系をやっている事が多い。

そしてそのまま睡眠学習に突入…


受験結果は不合格だったが

これを数年間継続して

モチベーション等に影響されず

不動の学習習慣を身に付けたポン助。

日常の中に当たり前に

勉強する数時間が存在する。


集中している時は

ゾーンに入って居るとでも言うのだろうか

ドクターXのオペ中の大門未知子ばりに

目を見開いて居る事が多い。


そして眠くなると

タレ目が更に垂れて

昔人気があった癒し系キャラクター

たれパンダの如く垂れて来る。

先日のお泊り会でも

眠くなり目が垂れすぎだと

友達に爆笑されたらしい(笑)


「あっ!そろそろアイス固まったかな?」

お昼に手作りアイスに挑戦していたポン助。

カルピス原液と牛乳を1:2の割合

フルーツ缶をシロップごと

フリーザーバッグに入れて

数時間冷凍すると

シャーベットの完成♪

親子で美味しく頂いて

明日の準備完了。





本当なら明日は…

6年間頑張って来た

サッカー少年団の卒団式。

中学受験終了直後に

スキーの無い日に数回顔を出したが

その後メンバーの一人に

フィールド内でも学校内でも

受験失敗やスキー技術等を馬鹿にされ

逃げ場の無い程執拗に

数々の心無い言葉を浴びせられた。



その子は中学受験はしていない。

スキー技術も運動神経も勉強も

誰に言わせても明らかにポン助が上。

それでもマウントを取り

陰で他の子達に

「お前がそれ言えるのかよ。」

等と苦笑されようが

自信満々にポン助を揶揄する

そういう子だった。

ポン助を庇ってくれた子が数名おり

事実発覚後

後から謝罪はあったが

親が平謝りするだけで

当の本人は浮かない顔をしていた。

本当の事なのになぜいけなかったのか

なぜ謝らなければならないのか

そう感じた。


その子に対してポン助はもう

完全に拒絶反応を起こしており

学校以外では関わりたく無いと言い切った。

会えば受験失敗のショックや

言われた言葉が全て思い出されると言い

相当なトラウマになった様だ。


無理も無いだろう。

ポン助だけはその彼を

ずっと親友だと思って仲良くして来た。


学級委員長や児童会長等

真っ先に皆に推されるのはいつもポン助。

しかし親の意向なのか何なのか

肩書が欲しい彼にいつも

役員決めの日のず〜っと前から

「ポン助はやらないよね?やらないでね?」

としつこく牽制されるので辟易し

それが嫌で自ら他の役職を選んでいた。

「絶対ポン助の方が向いてるよね。」

と陰で皆に言われて居たが

ポン助は彼に対して

絶大な信頼を寄せて居た。

低学年の時に読書感想文や書道で

何度か入賞し金賞も頂いたりしていたが

「今度から僕が入賞したいから

ポン助はもう絶対に出さないでね。」

と同じ子にまた何度も言われて

宿題で全員強制的に提出する物や

先生に個人的に頼まれた以外の

コンクール関係は全て出さなかった。

他の理由を付けて楽しかった書道も辞めた。

先輩から彼がイジメを受けた時にも

全力で庇い先輩に向かって行った。


でも現実は違った…

彼にとってポン助はずっと

「自分が1番になる為の弊害

最高に疎ましく蹴落としたい存在」

ただそれだけだったのだ。

そうでなければ

受験失敗でどん底の精神状態の親友を

周りが注意する程

嬉しそうに叩きのめす様な言葉は

一切出て来ないはずだ。

初めて掴んだポン助の弱みを

ここぞとばかりに攻撃したりはしないだろう。

それ程までにその子はずっと

ポン助よりも優位に立ちたかったのだ。

中学受験はせずとも

周りにポン助よりも優秀なのだと

認識されたかったのだ。

もし自分が中学受験したなら

合格していただろうと

言いたかったのかも知れない。

一緒に受けたりした

全統小などの全国テストで

ポン助よりも良い成績だったのだろうか

特に興味も無かったので

別に聞いた事は無いが 

言うだけの自信は無限にあるのだろう。

言ったからには中学受験組を超越する

絶対的な根拠のある自信を持つのだろう。

周りに認めさせたいなら

これから全て証明してくれるだろう。


今となっては

もうどうでも良い。



本当の親友ならば必ず

傷ついた心に真っ先に寄り添うはずだ。

親友では無くとも

人として真っ当に成長した12歳ならば

落ち込んでいる友達にかける言葉を

慎重に選べる筈だろう。

実際に男女問わず寄り添ってくれた友人が

沢山居て救われた。


そもそもポン助は

彼をライバル視した事など

一度も無い。



唯一ライバルと認め

リスペクトしているのは

一緒に中学受験を志した友人だけだ。



他のサッカー仲間達とは

とても良い関係なので

本当ならポン助は

皆と一緒に卒団式を迎えたかったが

たった1人の存在が

精神的にかなりのストレスになるので

道コンを理由に

欠席する事にした。

指導者には受験失敗や

元親友との決裂により

精神的に不安定になったと

全て報告してある。

そしてそのまま

ユニフォームは返却した。


素晴らしい身体能力で

チームに無くてはならない様な

華々しい活躍をした団員では無い。

それでもポン助が6年間

弱い体で必死に走り

ボールを追い掛けて

頑張って来た事実は変わらない。



スター選手じゃ無くても

ハーフしかまともに出られなくても

必要とされていなかったとしても

頑張った事実は変わらない。

6年間の努力は絶対に消えない。

シュートを決めた試合のビデオも

沢山残っている。

主治医に後から怒られても

体力の限界を超えて

毎年出場したマラソン大会では

銀メダルと銅メダルが合計6個。

身体能力と心肺機能が低いので

先天的に運動能力の高い子には及ばず

金メダルは取れなかったが

一生懸命練習して練習して

自分で発作が起きる限界直前まで

何とか見極めながら

走れる距離を少しずつ延ばして行き

毎年メダリストになれた。




誰も認めてくれなくても

両親だけはポン助の頑張りと

努力を重ねた歳月を讃えるからね。


「6年間楽しかったね。お疲れ様でした。」



そう…

嫌な事はもう全て過去の事。

積み上げた全ての努力は消えない。

中学受験勉強で鍛え上げた

学力と処理速度も

決して無駄にはならない。

模試で良い勝負をして来た事実や

あの膨大な勉強量や

難易度を体験し知って居るのは

この町でポン助の他にただ1人。

わかってくれる仲間がいるだけで

ポン助の中学生活はすでに明るい。

何も知らない奴には

勝手に言わせておこう。

中学受験のレベルも

勉強内容ですら何も知らないのに

落ちたから頭が悪いだの

馬鹿だのアホだのレベルが低いだの

やっぱり自分の方が上なのだと

完全に見下し虫ケラ扱いで

親が謝罪後も

言いたい放題なのだから。



まあ

そのうち現実を知るだろう。



「もう好きな様に言えばいい。

中学最初のテストが楽しみだ♪」



そうだね。

もう仲良くする理由の無くなった人に

遠慮は一切無用だと思うよ。

やりたい役員も

挑戦したいコンクール関連も全て

ポン助らしく自由に楽しくやれば良い。




さあ…

行こうか。