「あ"ーっ!くそー!くっそーっ!!」
ポン助
スキー人生初の
大会転倒にて途中棄権。
まあ
今まで本番で
1度も転んだ事が無いのが
奇跡だっただけ。
完走率100%の安定した滑りから
少しは進化して
攻める滑りをしようと
意気込んだ結果なのだろう。
他のチームの指導者が
スマホで偶然撮影していた
ポン助のスタートから転倒までの動画が
友達経由で送られて来た。
私も含め観戦者の集まるゴール地点から
全く見えない上部で
かなり激しく転倒。
怪我が無かったのが奇跡と思える程の
激しいクラッシュで
コース外に雪煙を上げながら
回転して飛んで行った。
肉眼で見える斜面で
これ程の転倒ならば
立ち上がるまで親や関係者は
ヒヤヒヤしながら見ている。
次の選手が来る前に
自力で立ち上がり
コース外に移動出来なければ
一時競技中断となる。
そんな時
選手本人は大抵
何処か怪我をしていて
自力では動けない状態なので
直ぐに近くで待機している大会関係者や
選手の指導者等が現場に駆け付ける。
そして
スキー場の大会役員やコース係が
ソリやスノーモービルを使用して
怪我人をスキー場下部まで下ろし
ロッジの医務室等に搬送する。
そしてそこで状態確認後
救護担当者や医療関係者の判断を仰ぎ
本人や家族の意思確認の元
病院に直接救急搬送したり
帰宅後に様子を見て
後日受診の選択をしたりする。
この一連の流れを
今まで現地で何度も見て来た。
我が子がそんな状況ならば
パニックになる親も居るだろう。
ポン助も
普段の練習時では
何度も怪我をしており
転倒後自力で滑り下りても
後日痛みが激しくなり
受診後かなり酷い怪我だった事もある。
しかしそれでも
治ればまた雪山に向かって行く。
「好き」「楽しい」気持ちが
「怖い」「痛い」を上回らなければ
戻る事は無いだろう。
「ポン助って、大きい大会とかには
出ていないんだって?」
「そうだよ。そんなレベルじゃないしね。」
「『ポン助はさ〜、地元では上手いけど
大きい大会では上位にはなれないんだよ。
だから小さい大会だけ出て、人数少ない時に
自動的に入賞してるだけで実力は無いよ。』
って、◯◯が学校で皆に言ったみたい。
自分はそんな事言えるほど滑れないくせに
失礼じゃない?聞いて凄い腹立ったさ!」
「そうなんだ。事実だから仕方無いよ。
順位表とかタイムとか、検索したら全部
ネットで掲載されてるしね。関係者なら
出場する大会も全部知ってるだろうし、
親も家で言ってるんでしょ?言うだけの
自信があるんだろうからさ、好きに
言わせておきな〜(笑)」
相変わらずアンチからの攻撃は絶えない。
まあ
実力が無いのは事実なので
気の済むまで言わせておこう。
そこからの拡散だろうが
あちこちから聞こえて来る揶揄には
ポン助も相当傷付けられたが
もう慣れっこだ。
「ポイント付くレベルの高い大会に
ガンガン出て入賞したり、ジュニオリや
中体連で全国に行く様な先輩が居れば
下の学年も憧れてレベルアップするのに。」
「後輩より遅いタイムしか出せない先輩なら
誰も憧れないし尊敬もしないし、団員も
少なくて当然だわ〜(笑)」
地元のスキー場や町内で
明らかに私やポン助に向かって
聞こえる様に何度言われた事だろう。
関係者しか知り得ない内容も
確実に含まれているので
拡散元は予想出来る。
ポン助がデビューする前は
強い先輩が沢山居たらしい。
ジュニオリや全国遠征に
沢山出場してチームの知名度も高く
地元の企業もスポンサーとして
バックアップして下さったり
町を挙げて応援してくれていたとの事。
親に余裕が無く
アルペンデビューも遅く
体も弱かった為
無理が出来ないポン助。
指導者の方針で
高学年になった時に
雪が積もる前の
アルペン強化合宿に参加しても
喘息発作を起こして
ハードなトレーニングが出来ず
酸素を吸いながら必死について行くだけ。
「デケーのに使えねーな。」
と他の指導者に言われたらしく
帰宅後落ち込んでいた。
苦しくてもあまり休ませて貰えず
そのまま夜間救急に駆け込み
医師に相当叱られた記憶。
翌年から
強化合宿は全て辞退した。
そんなポン助なので
目覚ましい活躍は一切無く
良い成績を残して
チームの知名度や団員獲得に
貢献出来る選手にはなれなかった。
最後まで笑われて終わるのだろう。
しかし
体力が無くても苦しくても
医師に何度叱られても
本人はずっと全力でやって来た。
それだけ「好き」だったから。
好きだけじゃ勝てない
勝てなければ風当たりは強くなる
そんなのわかっては居たけれど
それでも「楽しい」からやる。
両親はそれをずっと側で見て来た。
ゆっくりだが
確実に技術を習得し成長して来た。
確かに
結果を求められたら
素晴らしい記録や実績など
何も残らない。
恐らくポン助は
一度も「1位」「優勝」の
経験が無いまま
ジュニアアルペンスキーヤーを
終えるだろう。
最高は2位。
しかも2名中の2位(笑)
壁にはそんなラッキー入賞の賞状が
ずらりと並ぶだけ。
しかしその中には
僅差で実力で掴み取った賞状もある。
嬉しい高価な景品も幾つか頂いた。
目標にしていた
級別1級も取得出来た。
大人でさえ難しいスキー級別検定に
小学生で合格出来た。
それも全て
アルペンスキーヤーだったからこそ。
誰に何を言われても
理不尽な扱いをされても
馬鹿にされても笑われても
得た物は沢山あった。
練習や大会が終わり
自宅に戻ると
私は必ずポン助に聞く。
「楽しかった?」
「うん!悔しかったけどやっぱり
最高に楽しかった!!」
それだけで充分。
それでいいじゃないか。
そこには確かな「成長」と
晴れやかな「達成感」が漲っている。
好きな事を全力でやれたなら
何度失敗しようが
何度反省しようが
後悔など何も無いのだと
私はポン助から教えられた。
やる前から「出来ない理由」は探さない
思い立ったら即行動
まずは「やってみる」。
失敗には
「学び」や「気付き」が
必ずあるのだから。
恐れずに
また
挑み続けよう。
お疲れ様でした!
切り替えて次に向かおう。
怪我が無くて良かった♪